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遺言書作成

遺言書を作成する場合

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 それぞれのご家庭において、どのような相続になるかは、多種多様な事情があります。
 私は、司法書士、土地家屋調査士、ファイナンシャルプランナー(CFP®)の資格を有し、不動産業の経験もあり、これまで多様な相続の相談を受けてきました。
 ここでは、どのような場合に遺言書をさぅせいしておくかについて解説をいたします。

遺言書の作成が必要なケース

 相続には、複雑な人間関係など、多種多様な要因があり、対象となる相続財産も様々であって、なんらかの準備をすれば全てが解決できるわけではありません。
 それでも、なんらかの対応策を行なっておくことにより、争わずにすむ、争うにしても、大きな争いにしない、ということができます。

 次のような場合、なんらかの対応を検討しておかないと、思わぬ争いが起こることがあります。

  • 子供がいない
  • 再婚、養子縁組により親族関係が複雑
  • 財産を分割できない
  • 相続人のなかに経済的問題を抱えている人がいる

 このような場合、なんらの準備もしておかないと、相続発生後、遺産分割協議において収集がつかない争いになり、最悪、遺産分割調停、遺産分割訴訟に発展していきます。
 被相続人となる方(通常は親)が健在のうちに、遺言書を作成しておくことで、争いを回避することが可能となります。

相続の争いが起こるありがちな事例

 相続争いが起こる状況は千差万別で、それぞれの状況に応じて慎重に検討をする必要があり、どのようにしたいかもその考え方は様々で、どうするのがよいかはそれぞれの状況によって検討をする必要がありますが、ここでは相続でどのよなことが起こりうるのか、ひとつのありがちな事例を取り上げてみます。

 兄弟が2人で、父親が所有する自宅に兄の家族が同居をし、父親の面倒をみていました。父親は、自宅不動産以外にはめぼしい財産はあませんでした。
 父親が亡くなって、相続となると、弟は法定相続分として2分の1の財産を取得する権利があり、自宅の半分を取得することができます。兄弟仲がよく、弟が家は兄が取得することに異存がないのであれば、問題はありません(通常はこのようなケースの方が多いでしょう)。
 しかしながら、弟が、半分は自分に権利があるのだから、相応の相続財産が欲しいと言う場合、問題となります。家を共有にして同居するというのは非現実的ですから、金銭で解決することになりますが、父親も兄にもそれに対処するだけの財産も収入もない場合には、どうにもならなくなります。
 もちろん、ここで弟は譲るべきだと決めつけるつもりはありませんが、現実的に支払いができなければ、家を売却してその代金を分け合うということにならざるを得ません。 仮に、父親が、世話になった兄にできるだけの配慮をしたいと考えるのであれば、遺言書を作成し、家を兄に相続させるとすることで、問題を小さくすることができます。
 問題を解決するといわず、小さくする、といっているのは、遺留分の制度があるため、このような場合に遺言書で完全に問題を回避することはできないのですが、なんとか解決できる範囲の問題にできる可能性はあります。
 例えば、自宅不動産の価値が2,000万円であるとすると、遺言書がなく、弟があくまで自分の取得分を主張する場合には、1,000万円をなんとか用意して渡す必要がありますが、遺言書で兄に相続させるとしておくと、弟へは遺留分(法定相続分の2分の1です)相当の500万円を渡せばいいことになり、これならなんとか問題を解決できるという可能性が出てきます。
 このような弟の主張が不当であるといっているわけではありません。本来は、現実としてどうすべきかは、家族間で円満に話しあって決めるべきでしょう。しかしながら、どうにもならない状況の場合には、遺言書が有効な場合があります。

遺言書を残す

 遺言書がない場合には、相続財産は法定相続分に応じて相続人が取得することになります。相続人全員の協議(遺産分割協議)をすることにより、法定相続分を修正し、誰がどれだけの財産を取得するかを決定することができますが、この協議がまとまらないと、相続の争いになります。

 遺言書を作成しておくと、相続財産は遺言書の指定により取得されることになり、これにより遺産分割協議において争いが生じるということを避けることができます。

 法定相続分で取得分が決められているのだから、それに従えばいいのではないか、と考えていると、次のような問題が起こります。

  • 子供がいない
     子供がいない場合には、兄弟姉妹が相続人となり、法定相続分では、相続財産の4分の1を兄弟が取得します。
     夫婦で生活をしていて、夫が亡くなったときに、自宅の所有者が夫となっている場合、妻がその家を取得することについて、夫の兄弟姉妹から了解を得る必要が生じるわけです。
     夫の兄弟姉妹が了解しない場合には、法定相続分に相当する財産を兄弟姉妹に渡さなければならないことになります。仮に自宅の価値が2,000万円だとすると、500万円を用意し、兄弟姉妹に分けないと話はまとまらないということになります。
  • 再婚、養子縁組により親族関係が複雑
     再婚をしたなどにより、親族関係が複雑になっている方に相続が発生すると、その遺産分割を巡り、大きな争いとなってしまうことがあります。
     夫が再婚で、前妻との間に子供がいた、というような場合、相続が発生すると、前妻の子供とも協議をしなければなりません。
     前妻の子供と良好な人間関係がある場合は話合いで可決することができますが、前妻の子供とはほとんど交流がないということも珍しくありません。このような場合でも、相続が発生すると、前妻の子供からも了解を得る必要があります。
  • 財産を分割できない
     主要な財産が金融資産であれば、相続分に応じてわけることが可能なので、さほど大きな争いにならずに解決することが可能です。
     一般に、それなりの相続財産があるという場合、その財産の中心は不動産であることが多く、自宅を所有していて、その自宅では兄が同居、それ以外はさしたる財産はなく、弟がいる、というケースは多いかと思います。
     この状況で相続が発生すると、この自宅を巡り、相続争いになることがあります。
     被相続人を巡る関係は様々で、一概にどうあるべきということはできませんが、上記のような場合、兄が自宅を相続するとうのは自然かと思いますが、弟としては自分は全く財産がもらえないということで争いになります。
  • 相続人のなかに経済的問題を抱えている人がいる
     これは、上記のような本質的問題とは異なるかもしれませんが、相続人全員が安定した生活をしてる場合は、お互い譲り合うことができますが、経済的な問題を抱えていると、相続が発生したことは一つのチャンスと考えることから、話合いがこじれることがあります。

<遺言書作成> 最終更新 2012-05-24 (木) 22:19:18 by 司法書士下原明(大和市)

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