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2012-06-22

2012-06-22

Tag: 債務整理

家族に内緒で債務整理をするということ

 債務整理の手続を家族に秘密にしてできます、という宣伝を見かけます。それでいいのか、という思いを強く感じます。

 平成18年最高裁判決により、過払い金請求が簡単にできるようになり、儲かる仕事となってから、多くの事務所が過払い金取り戻しますということで大々的に宣伝をするようになりました。その過程で、家族に内緒で債務整理ができますという宣伝もされるようになりました。問題の根本の解決を考えず、安易に過払い請求の依頼を集めようとしているとしか思えません。

 過払い金請求が一般化する前までは、多くの債務整理の依頼を受ける司法書士の仲間は、家族に秘密でという、特に夫、妻に内緒でという依頼は、受任できないとしていました。もちろん、各家庭には様々な事情があるでしょうが、家族は家計が一緒、財布は一つであるはずです。それなのに、夫・妻に知られずに、妻・夫が債務整理をしてよいのでしょうか。

 例えば、妻が夫に内緒で借金をしてしまい、返済が困難になってしまったので、債務整理の相談に来たとします。
 夫は家計を妻に任せきりで、一定の小遣いや必要なお金を妻からもらっています。妻はお金が足りないことを夫に言えず、不足した生活費を借金してしまいました。実際に何度もあった事例です。
 このとき、夫が知らないままで、破産や任意整理の手続をしてよいのでしょうか。夫は、自分の収入では今の生活が維持できず、もっと節約しなければいけないことを知らず、お金を使っています。別の見方をすれば、妻が借金したお金を、夫が使っているということになります。このような状況で、夫に秘密で妻の債務整理を行なうことは、モラルに反すると考えています。

 各家庭の事情は様々で、夫に知らせたら離婚になってしまうとか、夫から暴力を振るわれる恐れがあるなどの事情があります。私も、そのような事情と債務の状況を総合的に勘案し、夫・妻に内緒のまま債務整理の手続を受任することが全くないわけではありませんが、原則は受任しません。
 特にこれまで、破産の申立てを、夫・妻に内緒のまま行なったことはありません。これで免責を受けるということは、妻・夫が借りたお金を夫が自由に使って、その借りた借金の返済を免除してもらうということになります。

 実際、このようにして来た相談者に、夫・妻に事実を打ち明け、相談をすべきである旨を説明し、納得をしてもらい、受任をしたことは何度もあります。単に目先の借金の処理だけをしても、長い目でみれば、夫婦でそのような話が全くできないというのであれば、近い将来、再びさらに大きな問題を引き起こす結果となるのは明らかなのではないでしょうか。それを話したことで離婚をするという結果となるのであれば、いずれ長くは続かないでしょう。

 結果として、このようにしてなんとか夫・妻に事情を打ち明け、その後解決をした事例は数多くあります。そうすることにより、夫と妻で家庭の問題を真剣に考え、なにが問題であるのかに気付き、その後の生活の改善を図り、家庭の問題の抜本的解決につなげることができます。


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